今回は、2024年4月末の運行で廃止予定の広島県のスカイレールについて取り上げます。

スカイレールについて、まず概要を(参考:wekipedia鉄道友の会ホームページ)。
スカイレールは、丘陵地に建設された住宅地への交通機関として、軌道法により建設された懸垂式モノレールとロープーウェイを組み合わせたような新交通システムで、JR瀬野駅に隣接するみどり口駅と住宅地のみどり中央駅を6分ほどで結んでおり、1998年8月28日に開業しました。
急こう配を登ることに長けており、最急勾配は263パーミル(1000メートル進んだ際に263メートル登る)で、ケーブルカーを除くと、日本一の急こう配を登る鉄道となっています。
列車自体に乗務員は乗務しておらず、遠隔操作で運転され、発車時刻になると自動で扉が閉まり、発車します。駅での発車や停車の際はリニア駆動にて、駅間を走行時はワイヤーロープで運転しています。また、遠隔操作なので目には付きませんが、保安装置にはATCを採用しており、安全性が確保されています。
スカイレールで使用されている200形車両は、1999年の鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞しました。傾斜地の輸送機関として非常に素晴らしく、新しい交通システムとしての先進性が高く評価され、今後の発展を願っての受賞でした。
残念ながら、維持費がかさみ、採算性への問題があることから、電気バスにて代替されることになり、2024年4月末の運行をもって廃止となることが予定されています。





ここからは、写真をご覧ください。
写真は、2021年10月と2024年1月に撮影したものを織り交ぜて紹介いたします。みどり口駅(2021年10月撮影)。

奥には、山陽本線の瀬野駅が見えます。

住宅地への階段を登ったところからみどり口駅を見てみます(2021年10月撮影)。
廃線後、高架橋や駅舎を撤去するとなると、巨額の費用がかかると思いますが、どうなるのでしょうかね・・・?
新交通システムでの廃線は、当サイトでも何度か取り上げている桃花台線ぐらいしか前例がありませんが、桃花台線の撤去工事は、総額100億円以上ものお金をかけて行っているそうです。

JR瀬野駅とをつなぐ通路から(2024年1月撮影)。
スカイレールがどれだけ急坂を登っていくのかわかるかと思います。

みどり口駅の自動改札機(2024年1月撮影)。
乗車券は、定期券がICカード、2013年から回数券もICカード化され、普通乗車券はQRコードによるものが導入されています。
現在、日本全国でQRコードによるものの導入が進められていることを考えると、かなり先進的です。

みどり口駅の券売機(2024年1月撮影)。
普通乗車券は感熱紙なので、駅の自動券売機と食堂などの発券機とを組み合わせたような形状になっています。

丘陵の上のみどり中央駅も見てみましょう。みどり中央駅は駅自体は無人駅ですが、執務室のようなものがあり、職員の方が勤務されているようです(2021年10月撮影)。
駅舎の下に車が何台か止まっていますが、職員の方のものでしょうかね・・・?
スカイレールの始発列車がみどり口駅発・みどり中央駅発ともに6時55分発で、終列車は両駅発22時10分発。車を使えば、始発前の出勤や、終列車後の帰宅も不可能ではないでしょう。

駅への通路からみどり中央駅を(2021年10月撮影)。
通勤・通学時間帯を除けば、閑散とした雰囲気です。




ここからは車両や沿線風景の写真をご覧ください。みどり中央駅に到着するスカイレール200形(2024年1月撮影)。
200形は、7両が在籍しています。

2021年10月みどり中央駅にて(ホームドアの上部より)。
桃花台線のように大掛かりな設備があるわけではないので、あまり目立ちませんが、列車は、みどり口駅・みどり中央駅構内で折り返し用のループ線を通って折り返していきます。
みどり中央駅の折り返し部には、検査場が併設されています。

みどり中央駅から途中駅のみどり中街駅間にて(2021年10月撮影)。
左側に見えるのが、みどり中街駅です。
始発駅(みどり口駅・みどり中央駅)発車時時点で、始発駅での乗客が一人もおらず、なおかつみどり中街駅で待つ人が一人もいないと、列車が運休となることがあるそうなので、注意が必要です。
奥の山間に見える工事中の道路は、国道2号の東広島バイパスで、現在は開通しています。

スカイレールサービス200形204号第3編成(203号)は、広テレのラッピング車になっています。

走行するスカイレール200形204号(第4編成、2024年1月、みどり中街~みどり中央間にて撮影)。
みどり中央駅の手前は、軌道の傾きが大きく、どれだけ急坂を登っているかよくわかります。

車内もご覧ください。
みどり中央駅にて発車待ち中(2021年10月撮影)。
たまたまラッピング車の203号でした。
ホームドアは、フルスクリーンタイプのものが採用されています。

車内(2021年10月撮影)。
座席は、現在福井鉄道で活躍中の880形のように座面と背もたれのクッションが独立したタイプが採用されています。
車椅子利用者のためのシートベルトや、立っての乗車に対応するためのつり革も設置されています。

車内の天井に設置されている製造銘板(2024年1月撮影)。

車内の側面に設置されている車両諸元と検査標(2024年1月撮影)。
定員25人ですが、25人も乗ったら”ぎゅうぎゅう”ですね。

最後になりましたが、最近は、廃止が近づいているからか以前よりも乗客が増加しているようです。
いつも述べていることですが、乗車や撮影の際には、ルールやマナーを必ずお守りいただきますようお願いいたします。

廃止になってしまうのは、非常に残念なことでありますが、スカイレールが有終の美を迎えられるようお互い気を付けたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

おわり。


投稿者 めいはん

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